2016年4月10日日曜日

使者

 晴れていた。外出しようかと迷っているとふいにアイディアが降りてきたのでどうしたものかと考えて簡単にネームを描いてメモ代わり。明日は天候が崩れるということなので外出することにした。
撮影:2012/04/10

 近所の川沿いの桜が咲きかけていた。やはりいつもの年より開花が早いのだろう。
 自転車で走るとあちこちの公園の桜も咲きかけている。コブシやモクレンは満開だろう。穏やかに晴れた空に白い雲が浮かび、時折やや強めの風が吹いていた。
 まだ、桜の満開には早いだろうとも思ったので一眼レフを持ち出さなかったのだが、それが後で後悔の元となる。
 毎年チェックしている大きな公園のコブシの花も満開で甘い芳香を風に漂わせていた。ソメイヨシノとは別の種類と思われる桜の花が満開になっている所もあった。一本の満開の桜の下でお弁当を広げている老夫婦。家族連れや仲間が集まってあちこちで花見をしている。持っていたコンパクトデジカメである程度撮影したらソメイヨシノにはまだ早いということで公園を後にした。
 買い物をして帰ろうと思いスーパーに寄って、産直の店とドラッグストアに寄った時、コーヒーフィルターがそろそろなくなるので買って帰ろうとしていたということを思い出す。ドラッグストアでは148円だったようだ。いつも100均で買っているので差額の40円が面白くない。少し迷ってスーパーまで戻ることにする。
 人生は些細な選択の繰り返しだ。
 ドラッグストアではパンと飲み物を買っていたのでコーヒーフィルターを買った後で山沿いの屋根のあるベンチで頬張った。すぐそばの別のベンチの前にたくさんのツクシを見つけたので撮影していると何かの気配を感じた。見ると歩道を白いカモシカが歩いてくるではないか。この時期のカモシカはボンヤリしているようだ。脅かしたりこちらが驚いたり急に動いたりしなければしばらく観察させてくれる。元来、強い近視らしく臆病という話を聞いたことがある。天然記念物でもあるし追いかけてはいけないと言われている。
 市街地にある山は周囲を住宅や道路などで囲まれているのでカモシカは山地へ逃げることができないのだろうと思う。地元では知る人ぞ知るカモシカの存在なのだ。以前子連れだったと思うのでさほど大きくない山に4頭くらいのカモシカがいるのではないだろうか。散歩道のそばでくつろいでいることもあったりしてちょっとしたマスコット的でもあり、中腹にある神社では白いカモシカを「神の使いか!?」と話題にしているのも見かけた。ボク自身も初めて会ったわけではない。三回以上は見かけていると思うが、まともな写真を撮れたことがない。コンパクトデジカメの最大望遠を使うせいか手ブレがあったりキレが甘かったりしてすっきりした写真が撮れないのだ。そして、あろうことか今日もコンパクトデジカメしか持っていなかった。
 カモシカはとても穏やかで写真を撮るのを待っていてくれるようにさえ見えた。それなのに今日もまともな写真が撮れなかった。
 いくつもの小さな選択の積み重ねで白いカモシカに会うことはできた。もしコンパクトデジカメではなかったら白いカモシカには会えなかったのかもしれない。

 帰宅して写真を整理しかけたが、制作中の漫画が気になるので優先順位を変更。追加のカットを描いてスキャニング、そしてレイアウト作業。なんとか公開にたどり着いた。



 今日はいろんなことがあった。
 白いカモシカは何かを告げるために現れたのだろうか。

腕立て伏せ
1回目:103回
2回目:86回

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