雲をつかまえる夢をみた。
空は青く澄んで風が強く吹いているようで、白く透き通った絹のような雲が形を変えながら流れて来ては去って行く。ボクはどこかのビルの屋上にいるようで流れて行く雲に手が届きそうな気がした。そこで空に手を掲げてみると、天女の羽衣を彷彿とさせるような雲の細い切れ端がスルスルと流れて来て差し伸べた手にまとわりついた。実体を持っているかのような雲だったが、手に絡んだ雲の切れ端は陽の光を受けて輝きながら刻々と形を変えやがて消えた。もう一度やってみようと手を掲げる。するとまた青い空の彼方から雲はやって来て難なく手にまとわりついた。陽の光の加減だろうか。白い雲は虹色に輝き始めた。雲が虹色に発光して見える気象現象を彩雲と言うが、まるで彩雲のようであり雲そのものが虹色に輝いているようにも見える。ふと、食べてみようと思い口に入れてみる。味は解らないが実体がないはずなのにワカメのような食感があり、軽くコリコリとした歯ごたえがあった。
これまで色んな夢を見たが、実に不思議で美しい夢だった。
そう言えば、若い頃に漫画のアイディアのひとつとして「夢空間」という作品を考えていた。現実と夢を行き来する話だからいわゆる「夢オチ」が最初からネタバレしている。しかし、人間は現実世界で生きているつもりでいながら五感によって得た情報から外界を認識しているに過ぎない。つまり常に夢と現実の境界は曖昧で現実を錯覚して生きているのだ。
今描いている漫画のそれぞれの話は、若い頃に考えていた「夢空間」が素地になっている。現実と非現実が交錯する不思議さが好きなのだ。もしかしたらそれ以外の漫画は描けないのかもしれないとすら思える。
トイレに入っていたらアイディアが浮かんだ。
これでまたカットを増やさなくしてならないのでページ数にも影響するかも知れない。現在の構成パターンは、まず筋書きを考えてからレイヤーを重ねるようにエピソードをオーバーラップさせて行く。エピソードが足りないとスカスカの内容になってしまい、相対的にメッセージ性が弱くなる。新しいアイディアのため新しいキャラクターが必要になったわけだが、描いてみるとこれまで描いたキャラクターと大差なくなってしまった。髪型の違いくらいなのだ。描き分けが難しい。
追加するカットの配置を考えていたら9ページ程になりそうだ。足りないカットも増えるので制作全体が膨らんで行く。入浴しながらまた次の展開を思いついてしまった。途中になっている作品があるので無闇に長編にするわけに行かない。10ページくらいになるのは仕方ないとしてまずは作品の濃度を上げることを考えよう。
腕立て伏せ:112回
(肩の不調にて仕切り直した)
2016年1月12日火曜日
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