2016年2月17日水曜日

直線

 ほぼ1日制作。
 最近はまず鉛筆やペンなどでアナログから入るのが定番になっているが、今日は冷え込んでいたので暖房を一部屋に集中してMacに向かった。少し前から制作していた工場の背景を進める。細部が気になってしまうせいか全体のデザインが疎かになりがちのような気がする。3Dソフトで制作すると構造的な所に意識が向くので曖昧な部分は少なくなるかもしれないが、それゆえにつじつまが合わないと成立しない。欲を言えば環境光にも配慮したいくらいだ。もっとも、スーパーリアリズムを追求するのが目的ではない。

 実は直線が苦手だ。高校時代に設計の授業があって定規とカラス口で直線を描かなくてはならなかった。カラス口は将来漫画を描く際に必要があると思ったので高校の授業で手に入ったのはラッキーだと思った。ところがカラス口の先端で線の太さを調節し何本もの直線を引くのがひどく厄介な作業だった。おそらくボクが不器用なせいだろう。カラス口と定規の僅かな隙間にインクが入り込み瞬く間に定規下への染み込んでいく。かくして製図用紙は見るも無惨に汚れてしまうのだ。とても綺麗な図面を描く級友もいたからどうすれば美しい図面が描けるのか不思議だった。

 時代は流れ、カラス口ではなくロットリングを使うという話を聞いた。そして今やデジタルの時代である。直線はパソコンが描いてくれる。いや、描いてくれなくては困る。

 漫画はコマ割りからすでに直線が必要である。都会の風景やメカニカルなものを描く際にも必要な場合があるだろう。消失点が必要な画面であれば常に直線の方向を意識する必要がある。それがまた厄介に思えてしまう。それはアナログ制作に限らない。デジタルであっても2D用の描画ソフトであればやはり消失点が必要であり消失点を設定すれば、距離感も意識しなくてはならない。そこで3Dソフトの登場である。昔は六角大王という3Dソフトで感覚を掴もうとしていたが、予想に反してひどく難しい印象があった。それからなかなかこれというソフトに出会えなかった。満を持して登場したのはGoogleSketchUpである。画期的な発想と操作感だった。以前は無料で商用も可能ということだったから勉強するにはうってつけだったが、3D空間での制作は車酔いにも似た感覚があった。使い始めた頃は長時間続けられなかった記憶がある。

 そんなわけでやっと習得しかけている3Dソフトを使用して漫画の背景を制作。その中から1カットを「工場女子」というタイトルのイラストにした。「Factory girl」の方が良かっただろうか。




 人生も曲がりくねった道を選びがちなのは直線が苦手なせいかもしれない。

 腕立て伏せ:105回

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