2016年5月28日土曜日

傍観

 少しばかり早い時間に起きるとリズムが狂って一日ぼんやりすることが多い気がする。そうは言っても早く目が覚めてしまった時は仕方がない。
 今日も少しばかり早く目が覚めたせいか昼食前の腕立て伏せにイマイチ力が入らない。そればかりか倦怠感はズルズルと尾を引いた。今日は土曜日。スイッチが切れるのは毎週のことだが、せっかく調子を掴みかけていたのでなんとか確実なものにしたい。そこで机に向かうも敢えなく挫折。

撮影:2007/05/29

 ゴロゴロするのも時には大切だと思う。しかしそのままでスイッチは入らないので午後になって外出することにした。晴れてはいても気温はそれほど上がっていない様子。青空にはまるで秋の空を思わせる薄絹のような雲が刷毛で撫でたように筋を描いていた。近所の麦畑はまだ青く、風に揺れている。
 自転車は毎日のように利用しているので今日はショッピングモールを散歩することにした。土曜日なので当然ながら混雑している。普段人気が少ないので敢えて混雑している時を選んでしまっているのかもしれない。それにしても人が多かった。人の流れの中を泳ぐように歩くつもりでいてもそういう動きはしばらくご無沙汰なので何度か睨めっこになる。もしかしたら相手方も同様なのかもしれない。
 そんな人の多いところでは人間観察を決め込むのもいいのかもしれない。定位置を持たず常に移動しているとそういう余裕も持てないので、どこかに落ち着いた方がいいのだろう。それすらも人の多い時には躊躇われる。家族連れにせよカップルにせよ、そういう席を必要としている人はたくさんいるだろう。そんな貴重な席を一人で占拠したところで落ち着いて人間観察できるわけもない。
 今日もひたすらショッピングモールを漂う。生ぬるい人いきれが淀んで重いので呼吸するのも楽ではない。大きなショッピングモールはたくさんの金魚ひしめく水槽のように酸素濃度が足りないのではないかとさえ思う。衣料品店に滑り込んだはいいものの狭い通路で品定めする人がいるため出られなくなりそうになる。かいくぐるように抜け出してまた歩く。ふと目の前を横切った美しい人と一瞬目があったような気がするが、多分気のせいだろう。気のせいでなかったとしてもどうということでもない。それから携帯ショップに立ち寄って若い店員さんと立ち話。一生懸命説明しようとする熱意は伝わってくるのでマニュアルにないだろうと思われるタブレット端末に関する質問を投げかけてみた。
「耐熱温度は?」
 するときちんと調べて回答してくれた。意外なことに0℃から35℃。夏の車内ではあっけなくアウトだろう。質問したことは正解だった。タブレット端末が高いということは彼の責任ではない。
 その後、電器店に立ち寄ってデジタルカメラを見ていたら店員さんが近寄ってきた。この店員さんは消極的というかネガティブな印象だった。C社のカメラの解説を聞いていたのだが、どうも違和感を感じるので使っているカメラについて尋ねると使っているのはF社のカメラでこの店では扱っていないという。そこから来る違和感だったのなら仕方ないが、その電器店の店員さんはいずれもそんな雰囲気を持っている気がする。

 帰路、散歩程度なのに膝がカクカク笑っている気がした。自転車の筋肉と徒歩の筋肉は違うのだろう。スーパーに立ち寄ってパンと飲み物を購入し公園で食べた。小学校低学年くらいの子供たちがサッカーボールを追いかけて遊んでいる。中学生の女子生徒が何人か集まってアイスを頬張りながら談笑している。

 それぞれの人がそれぞれのステージを生きている。
 平和な土曜日だ。



腕立て伏せ
1回目:98回
2回目:107回

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