2016年5月13日金曜日

生活


 晴れ。暑くもなく寒くもない。
 こんな気候の時は温泉にでも出かけたくなる。もちろん雪を眺めながら入る温泉もいい。
 
撮影:2006/05/14

 作画のため机に向かうと昨日の不調感は解消していて調子は悪くないようだった。
 今日は紙をアップグレードしてみようと考えていた。作画が安定しない一因が紙質でもあると考えられる。ただ、快適な状態ではないからこそ鍛えられるのではないかとも思っていた。調子そのものが悪くないのであれば、紙質が良くなれば快適に描ける可能性がある。以前にも同様のことを考えて少し厚手で平滑な紙面の上質紙が準備してある。前回は調子が掴めていなかったこともあり不安定なまま安定させることができなかった。紙質が変化することでコントロールを微調整する必要がある。これが上手くいかないと折角掴んだ調子を崩すことになる。幸い今回は力まない方向に調整している。
 何枚か描いてみるとやはり鉛筆の走りが良い。滑りが良いと言った方がいいだろうか。安定するには至らなかったが、感覚としては悪くない。問題はベン入れなのだ。

 天候が良いので外出して身体を動かしておくことにした。近所のショッピングモールまで自転車で出かけて散歩だ。
 金曜日なので混んでいるかと思いきや予想より来店客は少ない様子。GWも終わったことなので一段落というところだろうか。客がいなくても店員は決められたスペースで時を過ごすことが仕事。食品コーナーの客がまばらなのだから衣料品関係となると貸切の様相を呈する。店員さんはどんな想いで日々を過ごしているのだろう。
 衣料品コーナーでなんとなく価格をチェックする。夏向けのシャツが3,000円弱。考えてみると春夏物であろうが秋冬物であろうが同じような価格帯ではないだろうか。予算を立てやすくなるのは良いとしても使用している布の量や質も違えば縫製だって違うだろう。にも関わらず価格帯が同じというのは考えてみると不思議な気がした。
 結局、何も買わずにショッピングモールを出てスーパーに立ち寄ると三陸産の海産物を販売している人と目が合った。気さくな男性だったので少し立ち話になった。
 聞けば県内各地を回っていると言うので「大変だねぇ。」と言うと「いやぁ、あちこち見て回れるから飽きないですけどね。」と言う。スーパーも来店客がまばらで海産物の販売も振るわないらしい。金曜日だから夕方になったら混んでくるのではないかと励ましてみるも「いやぁ、今日はこのままでしょう。赤字ですよ〜。」と消極的だ。ふと、ショッピングモールで来店客を待つ店員さんを思い出す。その話をすると「そうそう。あれは大変だと思う。」と同意していた。以前に「めひび」と言う海藻を買ってみてそばの出汁などに重宝したことがあった。どうやら「乾燥して刻んだめかぶ」のことらしい。その人が販売している商品の中にも「乾燥して刻んだめかぶ」があった。値段を確認すると一袋1,000円。美味しいことはわかっていても予定外出費としてはちょっと覚悟が必要な価格だった。直後にお客さんらしい人が「ワカメくださいな」と立ち寄っていたので何故かほっとして店を出た。

 店で何かを購入する時、物理的に手に入る物を買っている感覚でいる。しかし実際にはその製品を販売するために関わっている人の生活を買っていることになるのではないだろうか。客がいなくても決められた時間内は店を空けることは出来ない店員さんの時間もまた保証されていなくては生活が成り立たない。材料の仕入れから加工、流通、販売に関わっている方々の数はどれくらいになるのだろう。客として商品を手に取る場合、しっかりした安い製品であるに越したことはない。しかし、それが生活を買うことだとすると意味合いが違ってくるような気がする。同じような価格帯という基準から考えたことだが、それは様々な価格帯に関しても同様なのだろう。

 制作者としての立場としてはどうなのだろうと考えてみる。作品は生活であると言えるだろうか。生活を売ることは出来ているだろうか。生活を買ってくださいと言えるだろうか。


腕立て伏せ
1回目:110回
2回目:110回

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