2015年12月31日木曜日

呉越同舟

 行く先が同じ旅人同士が小さな舟に肩寄せ合って大河を渡る。
 旅の話を語る者。陽気に唄を唄う者。寡黙に水面を眺める者。
 船頭の穏やかな横顔に気の弛みはない。
 日は暮れかかり、せせらぎと川風の音が耳をくすぐる。
 夕闇は行く先を隠し川面に来た道は残らない。

 今も昔も変わらない。
 漠然とした不安と微かな希望。

***

 希望を託した2015年が終わろうとしている。
 そしてまた新しい歳に希望を託すのだ。
 この一年、ボクは何を残せただろう。
 顧みる過去は夕闇に紛れ、不確かな記憶の淀みに沈んで行く。
 向こう岸には何が待ち受けているだろう。
 新しいことは未知であること。
 未知の環境。未知の出会い。未知の出来事…。
 未知であるからこそ新しい。

 ふと…考える。
 旅人を気取っているボクは果たして旅人なのか。
 新しい岸に渡る権利はあるのか。
 来る日も来る日も岸と岸とを行き来しているのではないのか。
 行くべき未知を探さねばならない。
 新たな旅を始めなければならない。

 2016年の岸を踏みしめて。

腕立て伏せ:101回

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