2016年11月15日火曜日

鉛筆

 朝は穏やかに晴れていて気温もさほど寒く感じなかった。先に買い物を済ませたほうがいいだろうかと考えていたら午後から雨音が聞こえ始めた。

 晴耕雨読などというほどのことではないまでも雨となったら腹を括るしかない。机にかじりついて制作に取り組む。最近は天候の良い日が続いていたため制作の方が疎かになっていたことは否めない。机に向かうのが遅すぎるくらいだ。その間に考えていたことを試すには良いタイミングとも言える。


撮影:2005/11/16

 考えていたことというのは、アナログで作画したカットをどのようにデジタル化すればスムーズな制作ができるかということだった。これまでのようにアナログで描いたものをスキャニングしてデジタル化し彩色してレイアウトする工程は長すぎて気持ちが萎えてしまうのだ。技術的な問題には設備の問題もつきまとう。
 新たに使い始めたレイアウトアプリは、直感的な操作が可能でアナログをデジタル化さえすればレイアウトの効率が上げられそうな気がしていた。まずは操作を身につけようとしばらく試用していたのだ。

 今日は実祭に描き上げたものから次々にレイアウトすることが可能かどうか実践してみようと考えていた。フォーマットが用意できていればそんなに難しい話ではないので作業そのものは問題なさそうな気がしていた。
 鉛筆で描いたカットにペン入れをしてデジタル化の際に主線を抜き出す。アタリだけ取ればいいものをつい彩色まで進めてしまった。幾つかのアプリを連携しての制作になるため全行程を確認しておく必要はあるのでそのまま進めることにした。2点ほどレイアウトしてみた限りではこれまでよりかなり順調な気がする。

 ついでに鉛筆の下絵もデジタルイラストとして加筆できるかを試してみる。あれこれやっているうちにこれまで試用していた時には気がつかずにいた機能を見つけた。説明書などというものは読まない方だし大抵のアプリは使っているうちに解るようになると思っている。そもそもわかりにくいと使わなくなってしまう。そのため便利な機能があることに気がつかないこともあるわけだ。そしてさらに気がついたのは「鉛筆機能」。これまでデジタル彩色は筆のタッチを使っていたので鉛筆機能は使う必要がなかった。アナログの時点でペン入れして鉛筆のタッチを消してしまえばデジタルでは出る幕がないことになる。ところがこの鉛筆機能を試したみたら思いの外使い勝手が良い。
 アナログでせっかく雰囲気のある鉛筆の下絵を消してまでペン入れするのはなぜかといえば、トーンが弱く印刷に向かないことだろう。それから摩擦で薄くなったり消えてしまったりすること。そう考えてみるとデジタルで鉛筆の線を再現できれば摩擦で薄くなる心配の必要はない。印刷への対応を保留することにはなるとしても最終出力がデジタルなら鉛筆のタッチで仕上げる可能性が出てくる。それというのも鉛筆機能のタッチがこれまでの認識より自然な印象なのだ。

 せっかくだから鉛筆機能でどこまで描けるか試すことにした。描きながら「本当にそれでいいのか?」という疑問が脳裏を過る。いかに自然であるとは言ってもデジタルはデジタルである。不測の事態によって一瞬のうちにデータが失われることもある。アナログの制作は物理的に成果が残るというメリットがある。
 そんなことを考えつつも描いていると修正が容易だったり消しゴム機能によって綺麗さっぱり消せるという事実も捨てがたいことに気がつく。アナログではどんなにしっかり消しゴムをかけたつもりでも紙の繊維に残っていたりするからだ。そして鉛筆機能を使って制作した場合、ペン入れの必要がないとすれば最終的目的をどこに着地させるかという課題も生じる。

 夢中になって描いていたら日はとっぷりと暮れ、買い物に出るのも忘れていた。こういう集中力は大切にしたい。もう少し鉛筆機能を試してみることにしよう。


プランク:60カウント
腹筋運動(Vシット):30回
背筋運動:10回
腕立て伏せ
1回目:110回
2回目:114回

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