2016年6月9日木曜日

蒸発

 湿度高めの曇り空。
 腕立て伏せしても汗がにじむ。
 腕立て伏せの回数だけ記録していたが、実は少し前から腹筋運動と背筋運動を追加していてその他に軽い体操もしている。脳の活性化が目的で始めたことだから他に目的はないもののよく続いていると我ながら思う。

撮影:2013/06/10

 今日はまず机に向かって作画。
 調子が出ないと言いつつも描いてあったた昨日の下絵を修正してペン入れ。インクボトルの蓋を開けようとしたらカチャッと鳴った。蓋が緩んでいたのだ。残りのインクが少なかったとは言え、まだいくらか使えたはず。中を確認するとほとんど蒸発していた。新しいインクを買ってあったので慌てることはないとは言え、使ううちに少しずつ蒸発して濃度が上がり、滲みにくくなっている状態なので惜しい気がしてしまう。仕方なく新しいインクボトルを開封して使ってみると案の定滲んでしまった。安いコピー紙に何度も消しゴムをかけたりしているから当然の結果ではある。
 鉛筆の下絵を修正してペン入れの後は乾くのを待って消しゴムをかける。この時、鉛筆の下絵が持っていた雰囲気が蒸発するような感覚になる。なかなか慣れることができない。
 昔、写真の仕事をしていた時に暗室でモノクロフィルムや写真の現像もやっていた。フィルムは現像から定着までほぼ真っ暗闇の作業である。一方、写真現像の方は適時仄かな灯りの下で作業する。最も感動的だったのは感光した印画紙を現像液に浸けた時の様子である。まるで空間から影像が浮き上がり、白い印画紙にまといつくようだった。無から有が生まれる瞬間を目の当たりにするような驚きがあった。
 理想的には印画紙に像が浮かび上がるように描きたいと思っている。
 あたかもそこに実在していたものを写真で撮影するように原稿用紙に定着させたい。今はむしろその逆で消しゴムをかけるとその絵の魂まで消え去ってしまう。その後のデジタル彩色によってまた別の雰囲気をまとうことになるとは言え、できれば元のイメージを仕上げまで維持したいのだ。
 蒸着という言葉を知ったのは工場派遣の仕事先だった。気化させた材料を目的に応じて意図した素材に定着させるということだったと思う。自然界ではなかなか同様の現象を見ることはない気がする。
 例えば、霧氷が近いかもしれない。
 空中の水分が冷やされて木の枝などで氷結する現象だ。

 何もない空間に漂うイメージを捉えて紙に定着させる。
 齟齬のない的確な定着のために日々の修練が大切なのだ。

 夕方になって買い物に出るとパラパラと雨が舞っていて帰宅した途端強くなった。夏の夕立のような雰囲気さえ感じる。


腕立て伏せ
1回目:109回
2回目:110回
腹筋運動(Vシット):25回
背筋運動:10回

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